「ママレボ通信」では、「ママレボ」の雑誌には掲載されなかった、日々の取材でのこぼれ話やレポートをアップしていく予定です。

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2014年8月30日土曜日

【避難住宅支援問題④】 埼玉県の避難者、家賃自己負担1148人

今日(2013年8月30日)付けの毎日新聞の報道で、埼玉県の避難者数を把握しなおした結果、3000人増えたことが明らかになり、家賃自己負担で避難生活を続けている人数が1148人にのぼることが明らかになっている。さらに、住居形態不明の避難者も、1149人に上っている。
原発事故さえなければ、住まいを替える必要のなかった避難者が、なぜ、家賃を支払わなくてはならないのか。
埼玉県だけでも、1000人単位で、家賃を自己負担している避難者がいるという状況が明らかになったいま、この問題を、このままにしていいのだろうか。


大震災:埼玉県内の避難者数は5639人 把握漏れで調査


――新たに避難者として集計されたのは、自己負担で民間賃貸住宅に避難している人(1148人)▽親戚や知人宅に避難している人(324人)など。その他に居住形態は不明だが、避難者向けの水道料金の減免制度適用や自治体の戸別訪問などで居住が確認できた避難者も1149人に上った。多くは自主避難者とみられる。



そもそも、この問題の発端は、7月30日毎日新聞の朝刊で明らかになった、埼玉県の避難者数のもれ。2400人、把握していないと発表された。埼玉県はその指摘をうけて、1か月かけて避難者数の調査を行った。


(「原発避難2400人把握せず 埼玉県集計 国の基準なく(毎日新聞)」)


じつは、それ以前にも、埼玉県内の避難支援を行う民間団体が発行する『福玉便り』の調査で、2013年、2014年の調査ともに、埼玉県が発表する避難者数の1,7~2倍の人数であることは、すでに指摘されている。


『福玉便り号外』2014年



この問題は、8月4日にも報道され(「クローズアップ2014:埼玉県ずさん集計 原発避難把握、丸投げ(毎日新聞)」)、8月5日は、埼玉県知事のコメントも記事になっている(「避難者把握ミス:埼玉知事「未登録の一人一人追跡は困難(毎日新聞)」)。


知事は、


――「復興庁が(集計)基準を示さなかった」と国の対応を批判したうえで、「これでは正確な集計にならないのではと、県の立場で(復興庁に)物を言うべきだった。


と述べた。



原発事故直後の混乱の中、自分で住宅を借りた、という話はよく耳にする。特に、自主避難者への住宅支援については、事故直後に方針が決まっていなかったため、急いで契約をして住み始める、というケースも多かった。


たとえば、埼玉県でいえば、県営住宅の入居の告知がはじまったのは2011年6月13日、借上げ住宅入居者募集要項が告知されたのは2011年7月15日。

事故から3か月経っている。

もちろん、それまでにも、市町村が住宅を用意したり、ボランティア住宅(空き家提供)を紹介したり、雇用促進住宅・UR住宅など、さまざまな住宅支援がなされていたようだが、借上げ住宅の募集が正式にはじまった7月までに、自分で住宅を借りた人がいた、ということは想像に難くない。


運よく「借上げ制度」ができたことを知り(かつ、自分にも適用されることがわかり)、そちらに移行する手続きを行った人も多いが、実際は、その手続きを知らず、そのまま継続して自己負担で家賃を支払い続けている人も、報道で明らかになった「1148人」の中にはいるはずだ。


実際に、2012年12月、新規受付が終了したあとに「借り上げ住宅制度を知った」という、いわき市から避難していた女性は、2011年11月に避難をしているが、避難当時、借上げ住宅の情報は得られていなかった。


埼玉県内で自主避難者のADRを手掛ける、小林玲子弁護士は、

「家賃を自己負担してきた方は、避難してきた時期にもよるけれど、原発ADRを行えば、今まで支払った家賃を回収できる可能性はゼロではない。ぜひ相談してみてほしい」
と話す。

今回、明るみに出た人数は、あまりにも大きい。
原発ADRで支払う必要のなかった家賃を回収しつつ、今後、新たに借上げ住宅への入居を可能にする、あるいは、避難生活の長期化で多くの要望がある、借り換えを可能にするという、行政によるメニューを用意すべきではないだろうか。




ママレボ@伊藤千亜



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『ママレボ7号』では避難住宅について

『ママレボ8号』では避難者数について特集記事を掲載しています。
ぜひ、ご一読ください。








2014年8月25日月曜日

【避難者住宅支援問題③】キビタキの会 院内集会 ―関係各省庁の質問に対するこたえ―

少し日が経ってしまったのですが、大切な内容が含まれているので、「きびたきの会」の院内集会における、参加した省庁担当者の回答をUPします。(大変大変、遅くなってすみません!)

住宅問題は、避難生活の根幹。避難を続けるために重要な問題です。

復興庁・内閣府・国土交通省の担当者が参加し、あらかじめ送ってあった質問項目に対して答えました。
その回答の言葉の端々から予想される、今後の政府の動きに注視していかなくてはなりません。


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質問①原発事故によって東京都に避難してきた住民は何世帯何人か。全国では何人何世帯か。



【復興庁】復興庁では完璧なデータがとれていない。民間の賃貸住宅に入っている方が多い。災害救助法の制度の中で入っている方は把握できるが、震災後のゴタゴタの中で、避難所扱いのような形で居住地をうつして住んでいる場合は、管理者が許可しているので、政府として把握するのは難しい状況。東京都に避難している方の人数は申し訳ないが、きちんとした数字を答えられない。
民間の賃貸以外にも、知人、親類の把握は難しい、病院に住んでいることもある。正確な世帯数は把握できているわけではないということを申し添えておく。

(→この「避難者の数」に関する問題は、2014年7月30日、原発避難:2400人把握せず…埼玉県集計 国の基準なく(毎日新聞)」8月4日、埼玉県ずさん集計 原発避難把握、丸投げ(毎日新聞)」という報道がありました。

また、最新号の『ママレボ』8号でも、避難者数の問題について、特集記事を掲載しています。
避難住宅の問題ともかかわる大切な問題なので、ブログでも、別記事でお伝えします。)

質問②現在の避難者が置かれている状況をどう認識しているか。避難者ニーズ調査及び政府の取り組み広報はどのように行われているか。

【復興庁】平成2510月に子ども被災者支援法の基本方針ができたあとに、「自主避難者」むけの情報提供事業も実施している。これは、「国からどういった支援施策があるのか」という情報提供、「自主避難者がどういったことを困っているのか」という相談という双方向の取り組みを伝えるもの。
平成25年度はやっていなかったが、平成26年度は、公募を行い、東京のNPO団体で情報提供を行うことが決まっている。


質問③住宅にかかわる問題で、原発事故避難者から2011年3月11日以降、どのような要望が何件出されているか。

【復興庁】要望の把握という意味で、復興庁としては、福島県と避難元市町村と共同で、住民意向調査(※)を行っている。住居形態、どこに避難したい、どこに移動したい、避難指示解除されたあとの居住地の希望などを把握している。

(※ 平成26年4月に発表された「福島県避難者意向調査」。意向調査(福島県HPで公開)

質問④福島県とは安定的な居住の確保に関してどのように情報交換や協議をしているか。

【復興庁】 帰還困難区域(長期避難の方)にはコミュニティを維持しながら、安心して避難生活をしていただく必要があると考えている。そのため、復興庁・福島県・受入市町村・避難元市町村で協議会を設置して、受入市町村ごとで個別部会を作り、復興公営住宅を中心とした、生活拠点・形成のための基礎作りを考えながら、その先は交付金を利用してすすめる。
長期避難者、生活拠点において、地域の絆の維持、発展にむけてコミュニティ研究会を開催。国・県・受入自治体・避難元自治体・有識者を交えて、住民自らの住まいや暮らしへの参画、地域住民の交流といったコミュニティの維持や形成の事例を整理して、関係者と 共有を図っているところ。


質問⑤災害救助法に基づく応急仮設住宅の供与期間についての質問。
 1)最終的な判断の責任者は誰か。
 2)住民の声や被災自治体の意見はどのように反映されるのか。
 3)ひとり当たりの住民の住居空間の広さはどのようになっているのか。
  (いわき市から武蔵野市に避難した方の事例では、
  狭すぎて、高齢の女性が単身で避難元へ帰らざる
  を得ない状況になった。 災害公営住宅申し込みに
  もはずれて、今後どうしていいのか分からない。)


【内閣府防災担当】災害救助法は原則2年。東日本大震災は1年を超えないで延長が可能。福島県は283月までということで延長しているが、その後の延長については被災自治体の復興公営住宅の整備をふまえて引き続き検討。

⑤‐1)最終責任者
延長については、災害救助法の救助の期間を延長しているという考え方。内閣総理大臣が定める基準としてあらかじめ都道府県の知事が決める。
都道府県知事が総理大臣に相談して決める、ということになっている。

⑤‐2)住民の声はどのように反映されるのか
各都道府県知事がどのように判断を行っているのかは、承知できないが、応急仮設住宅の提供、延長については、住民の意向をふまえて方針を定めている。協議を行っている。

⑤‐3)ひとり当たりの住民の居住空間の広さについて
個別の事例についてはコメントできないが、住居の広さは29.7平米が標準で、(2DK3タイプが標準仕様になっている。
世帯を分離して、複数の応急仮設住宅を提供しているケースも確かにある。


質問⑥ 子ども被災者支援法

1)基本方針の中に「(8)住宅の確保の主な具体的取組の中に、(2015年)4月以降については、代替的な住宅の確保等の状況を踏まえて適切に対応」とあるが、これをどう実施するのか。

2)現在の避難先がどこであれ、原発事故という人災による避難者が長期にわたって安心して住み続けることのできる無償の住宅を確保することを基本方針の中に書き込む見直しをしていただきたいがどうか?



【復興庁】
⑥‐1)274月以降さらに延長して、平成28年3月までになった。

⑥‐2)基本方針については25年に閣議決定した。ずっとこのままではないが、見直しについては未定。本日のような場、避難者のご意見を聞きながら、基本方針の見直しもしなくてはならないのではと思っている。ただし、見直しをするかしないか・どういうものになるのかは不明。

質問⑦ 新たな立法措置の可能性
政府に責任がある、ということを明記した住宅支援の包括的な長期の無償提供を行う、という枠組みがないので、新しい法律を作っていただきたい。そういう必要性があると考えているが、それはどうか。

【内閣府防災担当】避難指示区域にお住まいだった方に対しては、長期避難をされる方のために、復興公営住宅を協議しながら整備しているところ。住民意向調査をもとにしながら、昨年12月に4890戸の公営住宅を、という方針。3700(残り1100戸)は地権者との合意をとって、すすめていく。
また、家賃を低くする制度を国交省のほうですすめている(※)。あるいは、家賃については賠償で対応もされている。


(※)母子避難については入居要件を、所得の2分の1にする、というもの。


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ちなみに、質問⑦については、2014年7月17日、日弁連からも、「原発事故避難者への仮設住宅等の供与に関する新たな立法措置等を求める意見書」が出ています。



応急仮設住宅の供与期間は平成28年3月まで延長が決定されましたが、根本的な問題が解決されたわけではありません。

また、このときの集会で感じたのは、「長期避難の方(=帰還困難区域)」に対する答えははっきりしているものの、区域外避難(自主避難区域)に関わる内容はごにょごにょとお茶を濁すような答えしか得られない、ということでした。
「住宅支援が打ち切られたら、帰還するしかない」と、二重生活に苦しむ母子避難の方が話してくださったことがあるように、「今後、応急仮設住宅はどうなるのか?」ということは、自主避難の方たちの、最大の関心事でもあるはずです。
なぜ、ここまで切実な問題が捨て置かれているのか――。

この集会でお話してくださった避難当事者の方の言葉は、ぜひ、多くの方に読んでいただきたいと思います。


ママレボ通信:「避難者住宅支援問題①」
ママレボ通信:「避難者住宅支援問題②」



「避難者住宅支援問題④」では、開示請求をかけた「応急仮設住宅供与期間に関わる協議録」が、ほぼ黒塗りで届いた件と、その後の対応についてお知らせします。



ママレボ@伊藤千亜









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2014年8月20日水曜日

子どもが被ばくを避ける権利と、国・県の不作為を問う「子ども脱被ばく裁判」がスタート

 「子ども脱被ばく裁判」(第二次ふくしま集団疎開裁判)の提訴についての記者会見が818日、参議院議員会館で行われました。

 国や県が、放射能拡散の情報を隠ぺいし、これまで十分な被ばく対策を行わなかったことに対する責任を追及し、ひとりあたり10万円の国家賠償を求めるとともに、県や市に対して子どもたちが安全な場所で教育を受ける権利があることの確認を求める裁判です。
 
8月29日に福島地方裁判所に提訴し、福島県内・外の原告数十名が参加する予定。
 
 2011年から2013年にかけて行われた「第一次ふくしま集団疎開裁判」では、仙台高裁が「郡山市の子どもは低線量被ばくにより生命・健康に由々しい事態の進行が懸念される」と判決で認めながらも、訴えを却下しました。
 (ママレボ通信:
【ふくしま集団疎開裁判】判決文は、子どもたちの健康リスクを認めています

 今回の第二次提訴では、子どもたちの脱被ばくの権利が認められるのでしょうか。



■子ども脱被ばく裁判は、こんな裁判

 記者会見の冒頭、柳原敏夫弁護士が、福島とチェルノブイリを比較して「福島ではすでに、疑いも含めて甲状腺がんの子どもが89人も見つかっている。ベラルーシと比較すると40倍の発症率だ」と説明。「福島の子どもは、放射線によって命の危険にさらされており、戦争状態の中にいる」として、緊急に被ばく回避が必要であることを訴えました。

 続いて光前幸一弁護士が、「子ども脱被ばく裁判」の趣旨を説明。これによると、前回の「第一次ふくしま集団疎開裁判」と今回の「子ども脱被ばく裁判」の大きなちがいは、以下2つの点にあるということです。

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≪前回の裁判≫
前回は、郡山市の学校に通う子どもたち14人が原告となり、郡山市に対して「放射線量の低い安全な環境で教育を受けさせてほしい(疎開させてほしい)」と、仮処分を申し立てた。

≪今回の裁判≫
今回は、2つの裁判があります。

①、「安全な環境で教育を受ける子どもの権利を確認する裁判(子ども人権裁判)」。
→福島県の小中学校に通う子どもたちが原告となり、居住している各市町村に対して、安全な環境で教育を受ける権利があることの確認を求めるものです。
勝訴すれば、保護者と子どもが希望する場所で、安全に教育を受けられるように「避難」や「移住」の費用を求めていくことになります。

②、「原発事故後の国と県の放射能政策の違法性を問う裁判」(親子人権裁判)
→福島県に居住している(あるいは事故当時居住していた)子どもと保護者が原告となり、国と福島県に対して、無用な被ばくなどをさせたことや、精神的苦痛を与えたことに対する慰謝料(ひとり10万円)を請求する裁判です。こちらは、福島に住んでいる方だけでなく、すでに避難されている方も原告になれます。

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 今回の裁判では、なぜ、子どもだけでなく保護者も原告になることに決まったのでしょうか――。

 弁護団によると、原告になる保護者たちの強い希望として、「国や県の不作為を追求し、責任を認めさせたいという思いがあるから」とのことでした。

 福島県に居住している(あるいは事故当時居住していた)保護者たちは、(1)国が事故発生直後に、放射能拡散情報などを隠ぺいしたこと、(2)子どもにまで年間被ばく20ミリシーベルトを設定したこと、さらには(3)福島県がヨウ素剤を配らなかったことなどによって、無用な被ばくをさせられてしまった、という思いを事故後ずっと抱えて苦しんでいるのです。

 また、なぜ「ふくしま集団疎開裁判」から、「子ども脱被ばく裁判」に名前を改めたかというと、原告になる保護者から、「“疎開”と聞くと、行政によって強制的に移されてしまうイメージがある。行政のことはまったく信用できないので、避難・移住先は自分たちの希望で選びたい」という意見が多数上がったからだということです。
 口には出せないまでも、このように考えている福島県内の保護者は多いのではないでしょうか。
 
 弁護団によると、現在でも福島県内の通学路などには、1マイクロシーベルト毎時近いホットスポットがあり、事故後の初期被ばくなども合わせると外部被ばくだけでも高い数値になることが予想されるとのこと。さらに現在も、廃炉作業が行われている福島第一原子力発電所から放射性物質が飛散しており、吸い込む危険性があるため、こういったリスクも含めて訴えていくそうです。

■ 事故の責任を追及し、子どもを安全な場所で生活させたい

 また、この日の会見に参加した原告になる予定の保護者たちは、裁判に臨む思いを次のように訴えました。



 ○長谷川克己さん(47歳)郡山市→静岡県

 8歳になった息子とふたりで参加する。原発事故から3年半、行政が行ったことは理不尽の数々だった。事故後、多くの諸外国が80キロ圏外に避難を指示したのに、日本政府はなぜ2030キロの住民しか避難させなかったのか。なぜ、「ただちに影響はない」と繰り返したのか。なぜ、年間被ばく量を20ミリシーベルトにまで引き上げたのか。なぜ、今でも放射線量の高い地域に人を戻そうとするのか。このまま理不尽な状況に屈しているわけにはいかない。子どもは自分で守ると決めた。

 ○松本徳子さん(52歳)福島市→神奈川県

  “復興”という名のもとに、なにもかもなかったことにされようとしている。私たちの声が押し殺されようとしている。この裁判を機会に、どこに責任があるのかをはっきりさせたい。子どもたちを、少しでも放射線量が低いところに避難させないといけないという気持ちで、今回ここに立たせてもらった。しかし、これは福島県だけのことではない。汚染はどんどん広がっていく。だからこそ、みなさんのお力を貸してほしい。

 ○匿名 郡山市→東京都内
 
 郡山市内で、小さな医院を営んでいる。事故後は1か月ほど家族で避難したが、仕事や学校もあり、すぐに戻った。3年たったころに、ある病院で子どもの甲状腺を検査してもらったところ、多発性のう胞が見つかった。子どもに異変が起きたらすぐに避難しようと思っていたので、その帰りに物件を探しに行った。しかし、国が指示をしてくれないと動けないという人が多いのが現状。だからこそ、ひとりでも多くの方に、この裁判に参加してほしいと思っている。 

 
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 これまでの国や県の不作為を追求し、子どもには安全な場所で教育を受ける権利があることを問う今回の「子ども脱被ばく裁判」。
 このシンプルで当たり前の訴えが、認められる日本なのかどうか――。
 しっかりと見届けていく必要があるでしょう。

 この裁判には、現在福島県に居住している保護者・子どもだけでなく、県外に避難した方も参加できます。現在も、原告を募集していますので、詳細は下記をご覧ください。



 


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2014年8月11日月曜日

10.26福島県知事戦は、世界も注目する大きなターニングポイント〜子どもをもつ、おかあさんにこそ、政治に関心をもってほしい〜

 ことし1026日に、福島県知事選挙が行われます。「福島の悲劇をくり返さないために、3.11原発事故の過酷さをしっかり学んで反省し、自分たちの望む知事を選んで、自分たちで福島を変えよう!」という思いから、福島県民の有志によって「人間の復興と原発廃絶!ふくしまスクラム」が結成されました。
 今回は、「ふくしまスクラム」の共同代表、佐々木慶子さんに、福島県知事選に向けての思いをお聞きしました。(ママレボ@和田秀子)

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福島県が変われば、日本が変わる

 10月に行われる福島県知事選挙は、福島県だけでなく、日本を大きく変える選挙になります。
 現在、自民党は、日銀元福島支店長で現神戸支店長の鉢村健氏を擁立しようとしていますが、現職の佐藤雄平知事が、まだ進退をあきらかにしていないため、民主等など野党も、自民に相乗りして鉢村氏を推薦するのではないか、という見方が強まっています。
 しかし、自民党の独自候補者であろうが、現職の佐藤雄平知事であろうが、これまで原発を推進してきた人たちであることに変わりはありません。
 いくら、口先で「脱原発」と言っていても、「即時原発ゼロ」を掲げる候補でなければ、原発を推進しているのと同じです。だって、「即時原発ゼロ」でなければ、自分の任期中に「ゼロ」にしなくても責任を問われないのですから。

 つまり、いま名前が上がっている方々は、ほんとうに福島県民の痛みを理解し、私たちの思いを反映させてくれる人物ではないということです。
 福島県民は、原発事故でこれほどの被害に合いながら、次の選挙でまた、原発を押し進めてきた人物や政党を選んでよいのか、厳しく問われているのです。私たち県民には、その責任があります。
 今度こそ、ほんとうに、私たち県民の声を聞き、私たちのために働いてくれる県知事を選びたい―—。そう思って今回、なんの権力もない私たちが有志を募り、「ふくしまスクラム」を立ち上げたのです。

 もし、10月の福島県知事選挙で、7月の滋賀県知事選に続いて自民党を破ることができれば、現政権に大きな打撃を与えることができるはずです。
 原発再稼働だけでなく、原発や武器を他国に輸出し、集団的自衛権の行使容認をも認めさせようとしている自民党に、このまま政権を任せておいてよいのでしょうか。ここで待ったをかけておかないと、たいせつな私たちの子どもや孫に火の粉がふりかかります。ふたたび原発事故で辛い思いをしたり、戦争で犠牲になってしまったりする可能性があるのです。

■政治と生活は直結している、若いお母さんにこそ、選挙のたいせつさを知ってほしい

 よく、「政治の話はむずかしいから……」とか、「誰を選んでもいっしょだから」などと言って、選挙に関心をもたない方がいます。
 でも、よく考えてみれば、私たちの生活はすべて「政治」で決まるのです。
 大げさに聞こえるかもしれませんが、「戦争をする、しない」も政治で決まるのですよ。いくら、私たちひとりひとりが「戦争はしたくない」と言っても、政権をにぎっている政治家たちが、国民を守るためという名目で「戦争をする」と決めてしまえば、もう個人レベルで止めようがありません。
 私がそう気づいたのは、教師をしていたころです。戦前・戦中の教師たちは、軍国主義教育のもと、教え子を戦場へ送る綱のはしを自分も握っていたという深い悔恨から、「教え子をふたたび戦場へ送るな」という日教組のスローガンが生まれたことを知ったからです。
 また、当時の母親たちは、「戦場に子どもを送りたくない」と内心では思いながらも、表面では「お国のために」と、日の丸をふって、笑顔で子どもを送り出さねばならなかったという事実もありました。
 いっしょうけんめい子どもたちをたいせつに育てても、ひとたび戦争がはじまれば、戦場に子どもを送り出さねばならない。戦場では人間同士、殺し、殺され合うのです。しかもいま、ひとたび戦争になれば、戦場は特定されません。私たちの何気ない日常の暮らしのところに、ミサイルが落ちてくるかもしれないのです。
 いま、悲惨な状況を生み出しているガザを見てください。市民レベルでは、どうしようもできません。あのような状況を生み出しているのも政治なのです。
 原発も同じ。国や県の長が、「原発を再稼働する」と決めてしまえば、なかなかひっくり返すことはむずかしいのです。

 ただし、ひとつ希望があります。現在、私たちひとりひとりは“選挙権”を持っているということです。つまり、原発を推進し、現憲法を骨抜きにする政治家や、戦争をしようとしている政治家たちに投票しなければいいのです。口先だけで、「原発いらない」という候補者を選ばなければいいのです。世界最大の原発事故をおこし、その放射能被害に苦しんでいる私たち福島県民の立場を真に理解し、「即時原発ゼロ」を実行する人を、政党にしばられずに見極めて、その人に投票すればいいのです。

 ですから、決して「誰に投票しても同じ」ではありません。だからこそ、私たちの声に耳を傾け、県民のための政治をしてくれる政治家を擁立して、当選させる必要があるのです。
 そのためには、みなさんひとりひとりの力が必要です。とくに、小さいお子さんをもっているお母さんたちには、自分のこどもの未来に直接かかわってくることだということを認識して、しっかり選んでいただきたいと思います。

■ 県知事がもっている権力を、県民のために使ってほしい

「ふくしまスクラム」では、以下のようなことを実行してくれる知事を、県知事候補に擁立すべく、現在、候補者を選んでいます。

(※ 追記:「ふくしまスクラム」は、8月11日午後、元二本松市長の美保恵一氏に出馬要請しました)

記者会見の様子はこちら→ https://www.youtube.com/watch?v=dbbi1Z46hPM&feature=youtu.be

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「即ゼロ」と同じように、上かれていることすべてが大事な公です。
島県では、いまなお13万人以上もの人たちが、ふるさとにれずにいます。自主避者を含めると、もっと多い数になります。ですから、、移住、居住、保帰還しないなど、いずれの選択も尊重し、積極的に支援することは、とても大事なことなのです。 

 また同に、福島県内に住む子どもたちの被曝回避も、喫緊課題です。放射の影を受けやすい子どもたちにまで、年20mSvの被曝を押し付けている状を早くえる必要があります。
 しかし、私たちのこうした要望に同してくれている方からも、「市民が候者を立するのはいいが、知名度も後ろ盾もない人が知事になっても、何もできないでしょう」と、言われることがあります。
 心配されるお持ちはわかりますが、本来、知事を後押しするのは、私たち民ひとりひとりの支持と支援です。ですから、知名度や後ろ盾がなくても、民が支えていればそれは大きな力となります。
 また、知事の力は大きいですから、内の原をすぐにゼロにすることも、子どもたちの被曝をらすことも、知事の定ひとつでできるのです。その悟ができるかどうか、だけの問題です。

知事という大きな力を、ぜひ民のために使っていただきたい。そういう方を、私たちの民の手で立し、なんとしても当させなければと思っています。


■ 福島県民も、福島県外の方も、まずサポーター登録を!
 ただいま、福島県内・外でネットサポーター1万人集めることを目指しています。
県民の方はもちろんのこと、県外の方からも、「これだけは福島県知事にやってほしい!」というご意見を受け付けておりますので、下記よりサポーター登録のうえ、ご意見をお寄せください。

「県外の人が登録しても意味ないんじゃない?」と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。直接、投票できなくても、インターネットで情報を広めていただいたり、福島県内のお知り合いに働きかけてもらったり、カンパを送っていただいたりと、県外にお住まいの方でも、できることはたくさんあります。
 資金も権力もない私たちにとっての戦力は、みなさん方とのネットワークと、カンパです。
今後、選挙戦に向けて、若い方たちと一緒に「選挙フェス」なども行っていく予定ですので、みなさんぜひ、ホームページをチェックして、参加してくださいね。

 くり返しになりますが、とくに、子どもを持つ若いおかあさんや、大学生などの若い人たち、そしてこれまで政治や選挙にあまり関心をもっていなかった方々にこそ、投票所に足を運んでいただきたいと願っています。原発事故や、戦争で、直接、影響をこうむるのは、年配者よりは若い方々なのですから―—。

 みなさん、応援よろしくお願いいたします!


<プロフィール>
佐々木 慶子/ささき けいこ
「ふくしまスクラム」共同代表
佐々木慶子さん











元中学校英語教師。30年以上前から、定年後も脱原発運動を続けている。佐藤雄平知事がプルサーマルを導入する際には、母親たちと「沈黙のアピール」運動を立ち上げ、県庁前で沈黙の抗議を行った。ことし7月28日で98回目。そのほか
ふくしまWAWAWAの会」や「フクシマ・アクション・プロジェクト」なども立ち上げ、子どもの被ばく問題や、自然エネルギー問題などの解決に取り組んでいる。








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