「ママレボ通信」では、「ママレボ」の雑誌には掲載されなかった、日々の取材でのこぼれ話やレポートをアップしていく予定です。

ママレボの雑誌は、こちらからご購入できます!
http://momsrevo.jimdo.com/



2013年9月29日日曜日

「ママレボ編集長通信No7」 ~山本太郎参議院議員に聞く~ 秘密保全法から1ミリ問題までどう思う? 今、僕らに必要なのは「成功体験」を積むこと

~「ママレボ編集長通信」について~


「ママレボ編集長通信」は、このブログだけでなく、PDF版でも発信しています。
なぜPDF版を作成しているかというと、「インターネットを見ない方」にも、プリントアウトして配付していただけたら……と考えているからです。
 プリンターで“両面印刷”を選択してプリントアウトしていただくと、A4裏表1枚におさまるようにしています。
 ぜひ、「ママレボ編集長通信」をダウンロードしていただき、お知り合いに配付してくださいね!

 「ママレボ編集長通信」のダウンロードは、こちらから。



*****

「ママレボ編集長通信No6」のブログ版は下記でもお読みいただけます

*****

今秋の臨時国会で成立してしまうおそれのある「特定秘密保護法案(通称:秘密保全法案)」。

 この法案の危険性を国民に訴えるため、全国街宣キャラバンを実施中の山本太郎参議院議員に、秘密保全法の危険性から、「年間被ばく量1ミリシーベルト」問題にいたるまで、お話しをうかがいました。



■秘密保全法が成立したら、脱被ばくや脱原発の声が上げられなくなる!?

Q 太郎さんは、なぜ今全国をまわって秘密保全法のリスクを訴えていらっしゃるのですか?

山本:ひとことで説明すると、この秘密保全法案は、政府が自分たちにとって不都合、不利益な情報をすべて「秘密」にできるという法案なんです。
 何を「秘密」に指定したかも、秘密だから教えてもらえないんですよ。むちゃくちゃでしょ。
 たとえば、「原発」に関することを、政府が「特定秘密」に指定したら、原発について調べようとするジャーナリストや国会議員、原発に反対の声をあげる市民の方々までが逮捕されるような世の中になりかねない。
つまり、監視国家になっちゃうわけなんです。これから、政府に対してもっと情報公開を迫らないといけないのに、真逆の世の中になってしまう。こんなおそろしい法案が、10月15日から始まる秋の臨時国会で提出されようとしています。

 僕は、参議院議員選挙のとき、「脱被ばく」「反TPP」「反貧困」の3つを基本政策として掲げました。でも、もしこの法案が成立してしまったら、僕が掲げているような政府の方針に異を唱える政策については、国会議員ですら声を上げられなくなる可能性があります。
 だから何とか、この法案提出をみんなの力で「阻止」したいんです。阻止が無理なら、「延期」という形にまで、みんなの力で持っていけたら、次の大きなうねりにつなげられると思うんです。
 でも、もう臨時国会が始まるまで時間がない。だから全国をまわって、みなさんひとり一人に訴えているんです。

Q どうすれば法案提出を「阻止」できるのでしょうか?

山本:地元選出の国会議員に、FAX やメールで「秘密保全法について、先生はどうお考えですか?」と質問を送っていただきたいんです。
 「もし、先生が秘密保全法に賛成なのであれば、次の選挙では応援できません。私のまわりの友人たちも同じ思いです」と。半分おどしですよね(笑)。
 たとえば東京選挙区ならば、参議院議員5人、衆議院議員がひとりいるわけですよね。だから最低6人にメールかFAXでアプローチしていただきたいんです。
 100~200件くらいだったら、クレーム処理されておわりですけど、1万~2万という数が集まったら無視できなくなります。次の選挙で当落を分けるラインですからね。
 電話よりも、メールやFAXが有効です。「これだけ意見が来ました」と、積み上げて可視化できるので。
 「今まで先生を応援してきましたけど、秘密保全法について賛成されるなら、もう次の選挙では賛成できません」と、ハッキリ意見を伝えることがポイントです。
 国会議員にとって次の選挙のことを言われるのが一番こわいらしいですから。(笑)
次の国会が始まるのが10月15日なので、もうあまり時間がありません。みなさん是非、アクションを起こしていただけませんか?


山本太郎さんのオフィシャルサイト掲載されている「秘密保全法」に関するチラシ。

■みんなで成功体験を積んで、次ぎにつなげたい
Q このアプローチ方法は、ほかにも応用できそうですね。

山本:そうなんです。子どもたちに年間20ミリシーベルトの被ばくを強要している問題や、TPPなどについても、同じようにアクションを起こせば変えていけるかもしれません。脱被ばくも脱原発も、脱TPPも、それぞれがんばって声を上げている人たちはいるんだけど、現状をひっくり返すまでの力を持っていないんですよね。
 どれも自分たちの生活にかかわってくる共通の課題なのに、イニシアチブは誰がとるのかで意見が分かれたり、自己実現の場になっていたりで、ひとつになれない。それを否定するわけじゃないけど、もうみんながひとつにならないといけない時期にきていると思います。
 じゃあひとつになるために必要なことは何かというと、「成功体験」だと思うんです。共通の課題に対してアクションを起こし、何かひとつでも変えられたら、それが次の課題を解決する原動力になります。

■基本は 1ミリシーベルト
Q 太郎さんは以前、「年間被ばく線量 1 ミリシーベルトにこだわっていたら、本当に避難が必要な子どもたちが避難できなくなる」という発言をされていました。この真意をお聞かせください。

山本:もちろん僕だって、今でも原発事故前の「年間被ばく量 1ミリシーベルト」が基本だと思っています。
 というのも、僕がこの活動に対して本気になるキッカケになったのが、この年間被ばく量の問題だったからです。
 僕は原発事故の前、まったく原子力のことを知らなかった。だけど調べていくうちに、一般人の年間被ばく量は「1ミリシーベルト」だということを知りました。
 でも文部科学省は、放射線の影響を受けやすい子どもたちにまで、年間被ばく量「20 ミリシーベルト」を適用した。それで僕は、完全に「心に火をつけられた」のです。
 それまでは、デモなどには参加はするけど、先頭に立って声をあげるつもりはなかったし、マスコミに取り上げられるのは避けたいと思っていました。芸能界で「脱原発」なんて言ったら、いずれ仕事がなくなるのは分かっていたので、今のうちに収入を蓄えておかなくちゃって、思っていましたから。(笑)
 でも、政府が年間被ばく量を 20 ミリシーベルトに引き上げたと知ってから、そんなこと言ってられなくなった。積極的にマスコミの前に出て、訴えていこうと思ったんです。
 だから、基本は「年間 1ミリシーベルト」。僕の考えは今でも変わっていませんよ。

■踏めない地雷は自分が踏む
山本:だた、子どもや妊婦さんを守るための「原発子ども・被災者支援法」が 2012 年 6 月に成立したのに、一年以上たっても基本方針が決まらなかった。
 今年の 8 月末、やっと出てきた基本方針案を見てみたら、避難や移住、医療などの支援が受けられる「支援対象地域」は、「放射線量の数値では決めない」ということだった。予想通りの展開ですよね。やっぱり骨抜きにするつもりな
んだって。
 僕、一番だいじなのは、「数値を決める」ことだと思うんです。結局、この長い期間「数値が決められなかった」わけですよね。だったら、誰かが数値を決めましょう、と言い出さなくてはならない。年間 1ミリシーベルトがダメなら、3 ミリや 5 ミリならどうかということを政府に対して「投げかけ」をして、試算を引き出さないといけないと。
 でも、国会議員は 1ミリシーベルト意外の数値を口にするのが怖い。バッシングを受けますからね。 それで、「踏めない地雷があるんだったら自分が踏んでやろう」と思って踏みに行ったら、意外と爆発力があった。(笑)
 もうすごいバッシングですよ。今まで僕の味方だった人からも、いろいろ矢が飛んでくるという状況ですよね。
 こうしてきちんとお話しすれば分かってもらえることでも、ツイッターの 140 文字だったり、動画の一部分だけ切り取られてしまったりすると、真意が伝わりづらい。
 でも実際に、1ミリシーベルトを獲得するための運動になってしまったら、ずっと平行線のままかもしれません。そうなると、誰も救われませんよね。
 僕の意見に反対する人たちは、「数値の譲歩案は、政府側から出させないといけない」とおっしゃるんですが、むこうから譲歩案が出るのを待つあいだ、また 1 年も 2年も被ばくを強要させつづけるんですか、という話しなんですよ。今すぐにでも避難しなきゃいけない地域もあるだろうし、そればかりでなく、どんどん避難エリアが解除され、帰還させられつつあるという状況を止めるためには、こちらからの投げかけも必要なのかなと。


■専門家やお母さんグループとも協力していきたい
Q 今後、国会議員として、脱被ばくに向けてどのようなアプローチをしていく予定ですか。

山本:結局、数値を決めるためには、まず汚染の具合をきちんと測らないとダメだと思うんです。
 原発からはたくさんの核種が放出されたにもかかわらず、今、政府は、ヨウ素とセシウムしか測っていませんよね。
食べ物にしたって、ヨウ素とセシウムだけを測って、「測っているから安全です」と言われても、ほかの核種はどうなっているんだよ、って話しなんです。
 法律を変えなければ測れない核種もあるみたいなので、そこは専門家の方々とチームを組んで、どうやったら土壌などを詳しく計測していけるのか、詰めていきたいと思っています。そして次の国会で、質問趣意書を提出する予定です。

Q 今後、子どもを守りたいお母さんたちのグループとは、どのような連携が考えられますか?

山本:議員になると守備範囲が広がるので、僕自身もっと勉強しなきゃいけないと思っています。 おそらく、被ばくに関することや「原発子ども・被災者支援法」のことなどについても、今まで取り組まれていたお母さんたちのほうが、知識や情報をたくさん持っていらっしゃるかもしれません。

 だからぜひ、みなさんひとり一人が山本太郎の秘書になってくださったような気持ちで、情報やアイディアを出してくださるとありがたいですね。

 僕はラッキーなことに、みなさんに押し出していただいたおかげで一議席を獲得できた。マスコミや大手スポンサーの手を借りずに、自分たちの手で勝ち取ったという点においては、これもひとつの成功体験だと思うんです。
 
だからこれからも、みなさんと一緒に具体的なアクションを起こして、こうした成功体験を積み重ねていきたいと思っています。

聞き手/ママレボ@和田秀子

「新党 今はひとり」山本太郎オフィシャルサイトから左の願書がダウンロードできます。ぜひご活用ください。

また山本太郎さんの全国街宣キャラバンの様子は、ツイキャスで随時配信しています。

チェックはこちらから!http://taro-yamamoto.jp/

2013年9月15日日曜日

復興庁による説明会@東京

 「原発子ども・被災者支援法」基本方針案についての説明会が、復興庁の主催により913日東京のTOC 有明コンベンションホールで開催されました。

 これに先だって911日に福島県で開かれた説明会では、「基本方針案の撤回」を求める声が相次いだことを受け、この日は冒頭に「基本方針案に必要な修正を加える用意はあるが、原案を撤回する考えはありません」と浜田復興副大臣が述べるなど、波乱含みのスタートとなりました。

 説明会でのポイントをご紹介するとともに、一般参加者から出た主な質問と、その回答を以下にまとめます。




■支援対象地域の33市町村は「自主避難者の数」で決められた

 原発子ども・被災者支援法の中には、「一定の基準以上の放射線量が計測される地域」という記述がありますが、「一定の基準とは年間被ばく量何ミリシーベルト」を指すのか明確に示されていません。(法律の前文はこちら
 
 以前から、被災当事者や支援団体からは、事故前に定められていた「一般人の年間被ばく量1ミリシーベルト」を超える地域を支援対象としてほしい、という要望があがっていました。

 しかし、発表された基本方針案を見てみると、明確な年間被ばく線量によって33市町村の対象地域が決められたわけでなく、また準支援対象地域の指定もあいまいだったため、11日に福島県で開かれた説明会では、参加者からその根拠を求める質問が多くあがりました。

 これについて復興庁からは、「法案の国会審議の場において、法案提出者から『国が一方的に線を引くことでコミュニティを分断してはならない。地域の実情に合わせて支援対象地域を決めなければ、また人々を引き裂いてしまう』という意見がっていたので、必ずしも立法時に、線量だけで支援対象地域が定められるとは想定されていたとは言えない」との理由から、“地域の実情”に合わせて支援対象地域を設定することにしたとの説明がありました。

 では、“地域の実情”を何で測ったかというと、その地域における「自主避難者の数」を指標にしたということでした。

 復興省の説明によると、「自主避難というのは、避難せざるをえないくらい不安を感じているということ。自主避難したくてもできない方が潜在的にだいぶおられるんじゃないか」ということで、それをデータとして集めたところ福島県中通り、浜通からの避難者の方が全体の9割を占めていたため、この地域を支援対象地域にしたということです。

 さらに浜田復興副大臣からも、
「(被ばくの)しきい値はないということは分かっているが、国際的に有力な説としては20ミリシーベルト以下の被ばくによる健康影響は、他の影響に隠れてしまう程度だ。よって、画一的な線量による線引きはむずかしい
という趣旨の発言があり、会場の参加者からは、「法律で一般人の被ばく線量は年間1ミリシーベルトと決まっているはずだ」「チェルノブイリでは健康被害が出ている」「福島県民や自主避難者の声も聞かずに避難者の数だけで決めてしまうのはおかしい」といった批判の声があいつぎました。


■チェルノブイリ法とはちがう、と明言

 さらに子ども連れの若い母親からは、「支援法のお手本となったチェルノブイリ法では、年間被ばく量が5ミリシーベルト以上は強制避難の地域。51ミリシーベルトの地域は移住の権利がある地域とうかがった。日本ではその地域に、小さな子どもを抱えて不安の中暮らしている方がいる。『わずか何%の子どもしかガンにならないから大丈夫』と偉い人から言われても安心できない。まず自分たちの子どもひとりひとりをちゃんと診てほしい」という声がりました。

 これに対し浜田復興副大臣からは、「チェルノブイリ法と支援法はまったくちがうので、同じようにはできないが、健康不安への対応については、支援対象地域だけでなく法律の枠組みの中で健康調査や線量把握などをしっかりやっていく」と近隣の放射線量が高い地域の住民に対しても施策を考えていることを示唆する発言がありました。



 つまり日本では、現在、政府が設定している「年間被ばく20ミリシーベルト基準」は変えられないが、「年間1ミリシーベル以上かそれ以下の地域でも、状況によっては、医療費減免をはじめ地域のニーズに応じて必要な施策を講じる用意がある」ということなのでしょうか。

 これに関して、参加者からは、「一般人の年間被ばく量は1ミリシーベルトと法律で決まっているのに、法律違反ではないか」という発言が出ましたが、浜田副大臣は、

「ICRPの勧告によって、原子力発電所等の管理を厳重にするために、平常時においては自然環境における被ばく線量と同程度におさえるという観点から、年間1ミリシーベルトと定められているのは事実だが、決して健康の観点から決められた数字ではありません」

と、あいまいな説明に終始しました。

 しかし、健康の側面から決められた数字であろうがなかろうが、法律によって「年間1ミリシーベルト」と定められているのは事実であって、事故から2年半経過した現在でも、緊急時の20ミリシーベルトが適応されつづけるのかは、大変疑問です。

 また、現在の基本方針案の中には、栃木、群馬、千葉などのホットスポットは支援対象地域にも含まれておらず、準支援対象地域に指定されるのかどうかも不明確。
 強い要望が上がっていた健康調査等や医療費の減免についてもいまだ見通しがたっていません。

 参加者からは、1年以上たっているのに、いつまで検討を重ねるつもりか」という批判がり、浜田復興副大臣は重ねて、「年間被ばく量1ミリシーベルトを超える地域にお住まいの方々が健康不安を抱いていることは十分承知している。医療費減免や健康調査も含め、検討委員会を設置してデータに基づいて検討したい」と繰り返しました。


■新規住宅の支援に関しては可能性を示唆

 唯一、少し希望が見えたのは、これから新たに避難する人に対する「住宅の支援」です。

 この支援法の肝は、「避難する人も、とどまる人も、帰還する人もすべて必要な支援が受けられる」という点であるにもかかわらず、新規借り上げ住宅の支援は昨年末に打ち切られたきり。この基本方針案の中でも「これから避難したい人」に対する施策が何一つ盛り込まれていません。

 会場から「新規避難者への住宅支援を再開してほしい」「以前として根強いニーズがあるのだから」という声が相次いであがり、浜田副大臣はこれまでの経緯を以下のように述べました。

福島県から現状ではOKをもらえていません。福島県と引き続き協議をしなければ、今の段階では盛り込めない状況です。県としてはやはり帰ってきてほしいという思いがあるのでしょう今回は合意はとれませんでしたけども、少し預からせていただいて引き続き福島県と話しを続けたいと思います」

 これに関しては、「復興庁側が打ち切りを求めていた」という話しもあり、真偽は定かではありません。OurPlanetTV「住宅支援打ち切り」復興庁主導か〜自主避難者をめぐり文書入手

 しかし、復興副大臣が説明会の場で「少し預からせていただいて引き続き福島県と話し合う」という発言をしたことは非常に大きく、ぜひ新規借り上げ住宅の支援再開にむけて期待をしたいと思います。

 

■公聴会の開催には後ろ向き

 このように、一部希望が持てる内容もなくはありませんでしたが、全体を通して見てみると、やはり「被災者の思いに寄り添う」という内容にはほど遠いものでした。
 復興庁のそうした姿勢が顕著に表れていたのが、「公聴会の開催」についてです。
 これまで何度も、被災者や支援団体が「全国で公聴会を開催し、直接声を聞いてほしい」という要望をていたにもかかわらず、「これからも開催の予定はない」とのこと。 その理由として復興庁は、「これまで北海道や九州、関西などで行われた支援団体等の意見交換会には45回も出席しており、十分に被災当事者の意見も反映している」という考えに立っているからです。 
 
 これに対して参加者からは、「私たちはこうした話し合いの場を設定し、自費で何度も足を運んできた。その場で何度も公聴会を開いてもらうようお願いしたが、それを逆手にとって『もう十分聞いた』と言われては心外だ」といった批判が多数あがりました。


 ■自治体に働きかけつつ、実をとる必要がある

 このような復興庁の態度に代表されるように、どの施策に関しても、「不安を感じている被災者のために施策をつくってやっている」という態度を感じてしまい、大変不愉快になる場面が多々あったことは否めません。(もちろん精一杯対応してくださっている担当役人の方もいらっしゃるとは思いますが…)
 なぜこのような態度になってしまうかというと、やはり根本的には、この度の原子力発電所の事故責任が、「東電」やそれを推進してきた「政府」にはなく、あくまで自然災害によるものだと位置づけられているからでしょう。 

 明確に、事故の責任が「東電」および「政府」にあるということになれば、このような“上から目線”の施策にならないはずです。

           <参加者の発言はひとり3分までと決まっている>

 

 とはいえ、被災者の方々は「待ったなし」です。「東電」や「政府」の責任が認められるまで待っていたのでは、生活が破綻してしまいます。

 一方では、東電や政府の責任を追及しつつも、今回の原発子ども・被災者支援法が実のある内容になるよう、根気強く復興庁に働きかけていく必要があります。

 また、関東のホットスポットなどの地域に関しては、それぞれの自治体から復興庁に対して、「支援対象地域と同等の支援が受けられるように」という内容の要望書あがってきています。

 自治体レベルでも交渉を続けながら、一日も早く「避難する人も、とどまる人も、帰還する人」も等しく必要な支援が受けられるように施策を充実させていただきたいと思います。

 パブリックコメントは923日まで延長されています。

 期間中なら何度も提出できるようなので、ぜひこのレポートをお読みになったうえで、パブリックコメントを出していただければ幸いです。

 今後の予定としては、9月23日にパブリックコメントを〆切ったあと、みなさんから寄せられた意見を元に基本方針案を修正し、閣議決定する見通しだということです。


パブリックコメントの記入はこちらから
 
 
                           ママレボ@和田秀子

※なお、復興庁説明会@東京の内容書き起こしは、以下からダウンロードしていただけます。










2013年9月9日月曜日

「秘密保全法」のバブリックコメント9月17日〆切です!!

みなさま

日本の行く末を決める大事なことが、たった2週間のパブコメでどんどん決定されようとしています。

先日お伝えした「原発事故子ども・被災者支援法」のパブコメもそうですが、こちらと平行して、「秘密保全法」のパブコメも現在募集されており、〆切が9月17日までです。

こちらも、ぜひ皆さんのご意見をお寄せいただきたいと思います。

「秘密保全法」ってなに?という方は、こちらのサイトをご覧ください。

日本弁護士連合会「秘密保全法とは?」

わかりやすいリーフレットも制作されています。


(リーフレットはダウンロードできますので、ご覧ください)

機密保全法がこのまま施行されてしまうと、「原発の再稼働反対」や、「日本の国土がどれくらい汚染されたのか明らかにしたい」ということさえ、タブーになってしまう可能性があります。

国家が、これらを「特定秘密」に指定すれば、反対の声を挙げている人たちや、真実を知ろうとして民間で調査している人やマスコミ関係者などが逮捕されてしまう可能性があるのです。

こんな恐ろしいことがあるでしょうか…。
このままでは、日本は民主主義国家ではなくなってしまいます。

みなさん、ぜひ一言でもいいので、パブリックコメントをお寄せください。
また、お友達への拡散等も、どうぞよろしくお願いします!




ママレボ@和田

2013年9月8日日曜日

「1ミリシーベルトの約束」署名キャンペーンが始まりました!

 オリンピックが東京に決まり、当初から「他にやるべきことがあるだろう」と思っていたママレボ編集部としては、手放しで喜べない気分でいます。
 しかしながら、被ばく回避のため、早急に「次の一手」を考えなければ…と失意の中で思っております。

 そこで、というのもなんですが、昨日から「子どもたちを放射能から守る全国ネットワーク」が「1ミリシーベルトの約束」という素敵なネーミングの署名キャンペーンをはじめています。ママレボでもこちらを応援し、みなさまに広く署名を働きかけて行きたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします!



*以下「子どもたちを放射能から守る全国ネットワーク」よりメッセージを転載します*

オリンピック開催が決まった今、被ばく対策も<世界基準>でお願いします。

日本政府が準拠しているICRP勧告では、自然放射線に加えて、人工放射線による追加被ばくの限度としているのが、年間「1ミリシーベルト」

チェルノブイリ事故後につくられた法律でも、1ミリシーベルト以上の地域は「移住の権利区域」と呼ばれ、国の支援のもとに移住できることになりました。

ところが、今、日本では年間「1ミリシーベルト」の基準を大きく超えたままの地域にも子どもたちが暮らしています。
除染をしても大きな効果はなく、子どもを含めた多くの人たちが、そこで生活し続けています。

避難しても、生活も成り立たず、危険がわかりながらも帰る人も増えてきました。

オリンピック開催国であるこの日本で、健康や将来への不安の中で苦しんでいる人たちがいることを忘れてはいけないと思います。
祭りのようなニュースの中で、この人たちの声をかき消してはいけません。

被ばくの限度、年間「1ミリシーベルト」を守るために、移住、保養、健診、食品の測定など、あらゆる支援が必要です。

わたしたちは、この子たちの未来を守るために、今いちど「1ミリシーベルトの約束」を国に求めていきます。

オリンピック開催が決まった今だからこそ、

「年間1ミリシーベルト以上の追加被ばくを受ける人、


および、その地域には国が支援をしてください。」



署名をお願いします。


署名はこちらから!


http://p.tl/wnYE


2013年9月7日土曜日

9月6日発売の週刊金曜日にインタビューが掲載されています。

9月6日発売の週刊金曜日で、インタビューしていただきました。

『わたしと憲法』というコーナーです。

編集者の成澤さんが、稚拙な私の意見をうまくまとめてくださり、感謝しております。
いつもは、インタビューする側の立場なので、逆にインタビューを受けることで、いろいろと勉強になりました。
ありがとうございました!

このインタビューの中では、原発子ども・被災者支援法についても触れておりますので、ご一読いただけると幸いです。

ママレボ@和田秀子




2013年9月4日水曜日

「ママレボ編集長通信No6」 ~三田医院の三田茂院長に聞く~ 子どもの血液検査結果から見えてきたこと 関東全域の子どもたちに血液検査を!

~「ママレボ編集長通信」について~

「ママレボ編集長通信」は、このブログだけでなく、PDF版でも発信しています。



なぜPDF版を作成しているかというと、「インターネットを見ない方」にも、プリントアウトして配付していただけたら……と考えているからです。
 プリンターで“両面印刷”を選択してプリントアウトしていただくと、A4裏表1枚におさまるようにしています。
 ぜひ、「ママレボ編集長通信」をダウンロードしていただき、お知り合いに配付してくださいね!

 「ママレボ編集長通信」のダウンロードは、こちらから。

*****

「ママレボ編集長通信No6」のブログ版は下記でもお読みいただけます

*****

 原発事故以降、おもに首都圏の大人や子ども合わせて、のべ1,500人の血液検査や甲状腺エコー検査を行ってきた三田医院(東京都小平市)。
 事故から2年半経過しようとしている今、三田医院の三田茂院長に、血液検査の結果から見えてきたことをお聞きしました。

◇放射線の影響がわかる「白血球分画」という検査
Q 三田医院で行っている検査について、詳しく教えてください。
三田;当医院では、201110月ごろから、「白血球分画(はっけっきゅうぶんかく)」を含む血液検査と、甲状腺エコー検査を実施してきました。
 白血球は、5種類の球(好中球、好酸球、好塩基球、単球、リンパ球)からできているのですが、その5種類の割合を調べるための検査を「白血球分画」と言います。


 放射線をたくさん浴びる仕事に携わっている人は、毎年「電離放射線健康診断」という検診を受けなければならないのですが、その電離放射線健康診断の項目の中心が「白血球分画」です。
 今、甲状腺エコー検査のことばかりクローズアップされていますが、放射線の影響を調べるためには、むしろこの「白血球分画」の検査をする必要があると思っています。


Qつまり「白血球分画」を調べることで、人体が受けた放射線の影響がわかるということでしょうか。

三田;ええ。血液は「骨髄」で作られていますが、骨髄は放射線の影響を受けやすい臓器のひとつです。そのため、放射線の影響を強く受けると、骨髄で作られる血球の質や、割合に変化が生じるのです。
 白血球分画の値は、体にちょっとした炎症があっても変動しやすいので、当院ではあらかじめ炎症反応がないか肝機能の状態は正常か、といったことを調べ、状態が良くない場合は回復してから再検査してもらうことにしています。
 同じ地域で数百人、数千人の白血球分画を調べることによって、その地域の傾向がわかります。つまり、数値の平均が良くないエリアは、「ここには住み続けないほうが良い」といった行動の指針にできる結果が得られるのではないでしょうか。

 ちなみに、今、福島県で実施されている福島県民健康管理調査の中でも、原発事故当時、政府が定めた避難区域等に居住していた住民に対してのみ、この「白血球分画」の検査が行われています。
しかし本来は、福島県はもちろん北関東や首都圏の住民まで、「白血球分画」の検査をすべきだと思います。

 
◇「好中球」の値が平均値を下回っている
Q 子どもたちの「白血球分画」の数値に変化が起きているそうですね。

三田;はい。当院に検査に訪れる子どもは、ほとんどが東京や千葉、神奈川、埼玉、北関東などのエリアに住んでいますが、これらの子どもの白血球中の「好中球」の割合が、明らかに減少してきています。 
 医者の一般的な教科書である「小児・思春期診療最新マニュアル」(日本医師会編)には、小学生の「好中球」の基準値は、30005000と記されています。つまり、3000が基準値の下限値なのですが、事故以降、当院に検査しにやってくる小学生の平均値は2500にまで下がってきているのです。4000くらいの値の子どもが最も多いのが正常なのですが、分布図を見てみると、ピーク値が全体的にずれてきているのです。(イメージ図参照)
 繰り返しますが、「好中球」の値は、「小児・思春期診療最新マニュアル」に記されているように、健康な小学生なら30005000であることが望ましいのです。 しかし、当院に検査に来る子どもたちの平均値は、下限値の3000を切って2500まで下がってしまいました。これは、非常に問題ではないかと思います。





Q 白血球に占める「好中球」の割合が減少することで、どんな弊害が生まれるのでしょうか。

三田;よく、「好中球」の減少=免疫力の低下、と考える人がいるのですが、そうではありません。「好中球」というのは、通常、白血球全体の約60%を占めており、体内に侵入した細菌やカビなどを内部に取り込んで殺菌する働きをしています。「好中球」は、いわば免疫の中の「最後のとりで」であり、その前段階でいくつも菌などを抑える働きをしているシステムがあるのです。だから、「好中球」が減ったからといって風邪をひきやすくなるとか、感染症にかかりやすくなるといったわけではないのです。
 ただ、「好中球」の値があまりに低いと、風邪をひいて万が一こじらせたときに敗血症になったりと、命取りになりかねないので注意が必要なのです。

Q 「好中球」の値が下がると、具体的にどのような症状が現れるのですか?

三田;「好中球」の値が低いからといって、必ずしも子どもたちの具合が悪かったり、すぐに病気になったりするかというと、そうではありません。先ほど申し上げたように、病気になってこじらせてしまった場合に重篤な状態になる可能性が高くなるということです。

 また、数値の異変だけでなく身体的な異変もあります。
 2011年の夏は目が充血して真っ赤になっている子どもが多かった。一番多いのは、目の下にクマがある子ども。副鼻腔炎などもふえました。副鼻腔炎は、以前は治療すればすぐに治っていたのですが、軽いぜんそくを伴うような副鼻腔炎が長引くケースがふえています。そういう子どもでも、西のほうで保養するとよくなっています。


◇できれば、東日本から移住してほしい
Q 「好中球」の値が下がるということは、放射能汚染の影響なんでしょうか。

三田;東京でも福島原発由来の放射性物質は飛散してきましたし、汚染されたゴミが大量に燃やされていますから、呼吸によって空気中に含まれている放射性物質を取り込んでいる可能性は否定できないと思っています。何度も言いますが、原発事故以降、大量の放射性物質が放出されたわけですから、医者は、それまでとは違う症状がふえた場合「まず放射線の影響を考えてみる」というのが本来あるべき姿勢だと思います。

Q 「好中球」の値が低かった場合、どうすればいいのでしょうか。

三田;当院で検査する子どもの数値を見ている限り、たとえ「好中球」の値が低くても、西の方面へ最低でも2週間以上保養に出れば、多くの場合、数値は回復する傾向が見られます。
 「好中球」が1000くらいしかなかった子どもも、長野県に避難した後に検査したら、正常値の4000くらいに戻っていました。たまに、「好中球」がゼロという子どももいるのですが、その子でも九州に避難して2カ月くらいしたら2000くらいまで戻り、その後しばらくして4000まで回復しました。
 しかしあまりに値が低い場合は、西へ避難をしても平均値の4000にまで回復しづらい子どももいます。ですから、数値に異変があった場合は、できるだけすみやかに汚染されていない土地へ保養や避難していただくようおすすめしています。
 数週間単位でも、こまめに保養に出ている子どもの数値は比較的安定していますからね。
 しかし本当は、できれば東日本から移住していただきたい、と私自身は思っています。
 それは子どもだけでなく、大人にとっても同じです。

Q 大人の「数値」にも異変が起きているということでしょうか?

三田;大人の場合、血液検査の数値に目立った変化が生じているわけではありませんが、日々診療するなかで、来院される患者さんの状態が明らかに原発事故前とは変わってきています。 
 ご高齢者のぜんそくが、とにかく治りづらくなっている。薬でコントロールできていた人が、効かなくなっているのです。また、今まで症例の少なかった病気で来院する人がふえています。たとえば、リウマチ性多発筋痛症という50代以上がかかりやすい病気があるのですが、この病気は10万人に1.7人くらいがかかる病気です。
 当院が立地している小平市は、人口約18万人ですから、年にひとりかふたりの計算ですよね。3.11前は、一年にひとり当院で診るか診ないか程度だったのですが、今は同時期に10人以上もの患者が治療中です。
 
Q 甲状腺エコー検査の傾向についてはいかがですか?

三田;当院で検査する限り、子どもたちの中に深刻な状態の子どもはいませんでした。ただ、30代のお母さんたちの間で、この間2名ほど甲状腺ガンが見つかりました。もともと、女性のほうが甲状腺の疾病にかかりやすいのですが、原発事故による放射性物質の汚染によって、一生大きくならずにすんだはずの結節がガン化してしまった、という可能性はあるのかもしれません。
 また、今までは長年かかって成長したガンが高齢になって見つかっていただけで、じつは若いうちから一定数の微小ガンは存在するのかもしれない。詳細な検査をすることで、これを探り当ててしまったのかもしれないとも思います。
 しかし、チェルノブイリ原発事故のときも、事故から10年後には大人の甲状腺ガンもふえていましたから、子どもだけでなく大人も定期的に検査をする必要があるのではないでしょうか。
 

◇医者たちに立ち上がってもらいたい
Q チェルノブイリ原発事故の後も、地元の医者は患者の異変を察知していたようですね

三田;ええ、地域の患者さんをていねいに診ている医者なら、異変に気づくと思います。
ただ、患者さんひとり一人の被ばく量はわかりませんから、放射線との因果関係を立証するのは非常にむずかしい。
 今までの常識からすると、放射線を浴びた人と浴びていない人をグループ分けして調査をしなければならないのですが、そもそも首都圏の人たちがどれくらい放射線を浴びたのかも明らかにされていません。また、比較するグループについても、健康体の子どもたちを何百人も連れてきて採血しなくてはなりませんから、医者が個人的にできる範囲を超えています。
 つまり現状では、権威のある科学雑誌に掲載されるような「科学的データ」をとることは不可能なんです。とはいえ、明らかに異変が生じているのに、放っておくことも医者としてできません。

 だから、私は3.11以降、何度も医者のグループに「子どもたちの血液検査をしてください」と呼びかけてきましたが、なんの根拠もなく「放射線の影響なんてありません」と言われ、なかなか理解が得られませんでした。こういう検査は、20年、30年積み重ねていかないとわかりません。これまでの大事な2年半はすでに過ぎ去ってしまいましたが、ベラルーシやウクライナなどでもすでにデータは発表されているのですから、医者は、きちんと放射線が体に与える影響を学んで、患者の声に耳を傾け、そして調査をしてもらいたいと思っています。

Q 血液検査を受けたい場合には、どうしたらいいでしょうか。

三田;できれば、近所の病院か、かかりつけ医に行って「放射線の影響が心配なので、血液検査をしてください」と、率直にお願いしてみてください。イヤな顔をする医者もいると思いますが、そうやって少しずつ医者の意識を変えていってほしいと思います。できれば、甲状腺エコー検査と合わせて、一年に一度受けることをおすすめします。
 血液検査の必要項目は以下にあげましたので、病院で検査を依頼するときの参考にしてください。

<必要な血液検査項目>
・血算(白血球数、赤血球数、ヘマトクリット、ヘモグロビン、血小板数、白血球分画)

・血液生化学(AST, ALT, γ-GTP, TG, HDL-C, LDL-C, HbA1c, 空腹時血糖, 血清クレアチニン,尿酸)
・甲状腺機能検査(FT4, TSH
CRP(炎症を調べる)                           


                                   (三田医院 院長 三田茂さん)


    聞き手/ママレボ@和田秀子

***********


ママレボの雑誌購読はこちらから定期購読も受け付けております。
http://momsrevo.jimdo.com/